どうして「鍼」って効果があるの?

鍼は古代中国の医術として、産声を上げ現代まで脈々と受け継がれてきました。
古代では、石や動物の骨、陶器製のものから始まり金属製、そして現代ではしなやかで壊れにくいステンレス製が主に使われるようになってきました。
ここでは、「鍼」についてわかりやすく簡単にお話ししたいと思います。

鍼が効く理由・・・実は、、よくわかっていない?

鍼がなぜ効くのか。実は完全には解明されていない部分が多々あります。
しかし、WHO-世界保健機構-を始めとする世界の医学界や、オリンピック級の一流アスリートや、下町の鍼灸院に通う小児から、お年寄りまで、幅広くの方が鍼の効果を実感し、体感しています。
なので、ここでは、いくつか「鍼治療」の効果がある理由の一説をご説明したいと思います。

微細な傷の修復による血流の増加

 鍼は「刺入する」と表現されます。つまり刺しているんですね。この表現によって、怖いというイメージを持つ方がいるのもよくわかります。しかし、「鍼」自体は、0.12㎜~0.20㎜ほどしかありません。参考までに、注射針が4~8mm、髪の毛は0.08~0.15㎜くらいのサイズとなっています。
 鍼を刺すということは、その場にごくごく僅かな傷を作ります。
傷ができると、その部分を修復しようとして、血液中から様々な傷を修復するのに必要な細胞(血小板や免疫細胞等)が集まってきます。
 見た目には全然わからない傷でも、カラダはしっかりと反応して、修復をしようとします。
その過程において全身の血流が増加し、カラダの不調部分の血流も増加し、調子を整えるということが起こっています。

異物侵入による血流の増加

 おなじ血流増加を引き起こす理由のもう一つに、「免疫機能」を利用した考え方があります。
これは、カラダに異物が侵入した際に起こる生体防御作用を利用しています。
 カラダに異物(病原体や菌、ウィルス)が侵入すると、「T細胞」や「β細胞」「マクロファージ」等の菌やウィルスと戦う細胞が侵入部位に集結してきます。
 その際に「鍼」を異物と認識することで、その部分へ免疫細胞が働き、血流が増加するという仕組みになっています。
なので、鍼を刺した部分に人によっては、かゆみを感じたり、ピンポイントで赤みを帯びたりしますが、これは身体が正常に反応し、血流が促進した証拠になっています。

鍼特有 「気の流れを整える」

 これに関しては、科学的な根拠はほとんどありませんが、東洋医学や鍼灸を学んだ人としては、切っても切れない関係にあるのが、「気の流れを整える」ということです。
 簡単に説明しますと、「気」というものは、全身を絶えずめぐりまわっているもので、この気の流れが悪くなったり、滞っている状態であると、その部位は「病(やまい)」(ここでいう病とはいわゆる病気の状態とは異なるものと思ってください。)にかかっている状態という認識になります。
そこで、その気の滞っている部位や、関連する部位に鍼を刺すことによって、刺激を与え気の流れを良くしたり、円滑にします。
そうすることで、気の流れが悪いことで起こる、痛みやだるさ、倦怠感等の症状を改善していきます。
 これが顕著に表れる例として、「幻肢痛の鍼の効果」というものがあります。
幻肢痛とは、不慮の事故等で切断されてしまった部位が痛くなるというものです。
本来はそこにあるはずの四肢がないにもかかわらず、あったであろう部位に痛みやだるさ(患者様からすると、何もない空間)を感じるというものです。この幻肢痛に対して、本来ある四肢の部位の空間に鍼を刺すと、その痛みが取れたという例があります。
これこそまさに、「気の流れ」を整えた結果ということです。

これを言ったら元も子もない!?「プラセボ効果」

 みなさんは、「プラセボ効果」というのを知っているでしょうか?
「偽薬効果」ともいわれ、ものすごく簡単に言うと「思い込みの力」といったところでしょうか?
「偉い先生がいいと言ったので、信じて試してみたら、治った」という感じです。
 プラセボ効果については、詳しく紹介しているページがたくさんあるので、気になる方はチェックしてみてください!
 さて、鍼治療も科学的な根拠に乏しい所があるので、「プラセボ効果」ではないのか!?という論争は絶えず起きてきます。私個人としては、「プラセボ効果」も多少なりともあると思っています。
 もう少し深く話すと、「この人がやってくれるから、治りそうという信頼」と「痛い部分が治っていると意識を向ける」ことが重要なのだと思います。
人間には様々な自己治癒力が備わっていて、その力を引き出すのが「鍼」の力だと思います。
「鍼」というピンポイントの刺激、少なからず身体を傷つけるという行為をする術者を信じること、この二点によって、カラダが治るという方向に意識を向けることで、「鍼」治療の効果が最大限に発揮されるのだと思います。

超マニアック!「ゲートコントロール説」

 鍼灸の専門学校の教科書にも載っている「ゲートコントロール説」。
しかし、日常生活ではまず聞かない単語かと思います。ちょっと難しいですが、簡単にご説明しますね!
 「ゲートコントロール説」とは、痛みを感じる受容体というものがあり、ざっくり「鋭い痛み」と「鈍い痛み」に反応します。この際、「鈍い痛み」は「鋭い痛み」よりも優先されて反応することを「ゲートコントロール説」と言います。
 鉛筆を腕などに当てた時(鋭い痛み)にその周りを指で押さえると(鈍い痛み)、「鋭い痛み」が感じにくくなるといった現象が起きます。ものすごく割愛して説明しましたが、イメージはついたでしょうか?
 鍼刺激をすることによって、痛みの神経伝達の「ゲートコントロール」が行われ、痛みを緩和するという説です。しかしあくまで説のため、まだ確定的でないところもあります。

血流を良くする。そして、気の流れを整える

血流を良くしよう!

 ここまで見ていただくとわかるように、鍼の効果が出る理由として多いのは、血流を良くしよう!ということなんです。
血流がよくなると、
・基礎体温の上昇による免疫力向上、基礎代謝の向上
・自然治癒力の向上
・疼痛物質(痛みを感じる神経伝達物質)、疲労物質が溜まりにくくなる
・自律神経系を始めとする、各種神経系の正常な活動
など、カラダにとって様々な良い点が起こるとされています。
 もちろん、血流を良くするのは鍼で無くてもできることですが、特に鍼では、
・ピンポイントに血流を良くする
・ピンポイントに痛みを感じる物質を流し、自然治癒力を高める
・免疫機能にも働きかけるので、免疫力が上がる
・心地よい刺激によるリラックス効果で、自律神経系を調節できる
等の効果が見込めます。

昔からみんながやっている「手当て」という考え方

 怪我をしたときに、消毒をしたり、ばんそうこうを貼る行為を昔から「手当て」といいますね。
これは、読んで字のごとく、「手を当てる」行為から来ています。
 子供が転んだ時に「痛いの痛いの飛んでいけー!」と手を当ててさすったりするのもそうですね。
この行為こそ、「気の流れを整える」ということの源流になっています。
 痛い部分、だるい部分は気の流れが滞っていたり、悪くなっているというお話は先ほどしましたが、その部分に人の手を当てることにより、その流れを改善することができます
 それをさらに強めたり、効果的に発揮するのが、「鍼」という治療道具の役割となっています。
鍼では、痛い部分だけでなく、その周辺や「ツボ(経穴:けいけつ)」、気の流れ道である、「経絡:けいらく」(ツボとツボをつなぐ道)に鍼で刺激を与えることで、気の流れを整えて、痛みやだるさ、違和感などの症状を改善する力があります。
 私自身も、寝違えで首が回らない時に、肘にあるツボを使って痛みや違和感を軽減させてきました。
 全身の気の流れを良くすることで、全身の倦怠感やだるさ、なんとなく調子が悪い。。など、病名や疾患名の付かないようなものにも、効果があるとされています。

まとめ

 結論から言いますと、なぜ鍼が効くのかというものに、明確な答えはまだありません。
しかし、様々な作用によって、鍼を受ける方が本来持っている自己治癒力を高め、身体を改善していくということには、変わりません。
 古代から脈々と受け継がれてきた経験則、人体の神秘的な力、受け手と術者の信頼関係、それらが複合的に良い作用を起こし、カラダの自然治癒力を高め、不調を改善していくものが、「鍼」の力であり、時代を超えて人を治すという行為として認められてきました。
 はじめは「痛そう」「怖い」と思っていた方が、「気持ちいい」や「よく効く」といった声も私は何度も聞いてみました。
 辛い肩こりや、ぎっくり腰を始めとした身体の痛みに対して、なんとなく調子が悪いなどの、よくわからない症状についても、是非一度ご相談ください。
貴 女を辛い症状から解放する、一つの手段になるかもしれません。